セイントロンド


―ザシュッ

鮮血が飛び散り、二人の肌を紅く濡らした。


『ふっ…く…うぅっ…』


両手を愛する人の血に染め、女性は声をあげて泣いた。


『…ありがとう…ワルプルギス……』


男性は女性の頬を優しく撫でた。


『ごめん…辛い思いをさせたね……』


女性は何度も首を振った。


"ただ…この人を悪魔にだけはしたくなかった"のだと…


『…ワルプルギス…すまなかっ……』


―パリンッ


その瞬間、男性の体は光が弾けるように砕けていった。



『…あ……ああああっ…』


女性は地面に膝をつき、晴れ渡る天を睨みつけた。


『…許さない……。お前を葬るその日まで……』


後に残ったのは深い憎しみと復讐への希望だった。










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