セイントロンド


「…ぅっ…私はあなたが心配で………」


「…どうして?他人の心配なんて疲れるだけなのに」


私が言葉を発すたび、メアリーは顔を曇らせる。


なんでメアリーが泣くのかも私にはわからない。


メアリーがわからない…


「…うぅっ…私はただっ…」


メアリーは顔を両手で覆い、そのまま走り出した。


―バタンッ


扉の閉まる音だけが無情に響く。


私は…メアリーを傷つけた?


あぁ…多分そうだ。
メアリーは泣いてたもの…


追わなくちゃ……
でも会ってどうするの?


「…………それでも……
会わなくちゃ…」



メアリーと話しをしないと私はわからない。


怒ってた理由も、泣いてた理由も…


私も後を追って部屋を飛び出した。










< 20 / 99 >

この作品をシェア

pagetop