セイントロンド
しばらく歩いた。
なのにメアリーの姿が見つからない。
「……………メアリー…」
どこにいるの…?
いつもはメアリーが私を探してくれるのに…
迷わず見つけてくれるのに…
私はメアリーの居場所が分からない。
メアリーが行きそうな場所、好きな場所、物…
そういえば私はメアリーの事を何も知らないんだな…
知ろうともしなかった。
でもメアリーはよく私に質問をしてきた。
好きな食べ物は何か?
両親の話、好きな場所、好きな花……
メアリーは他の人間よりはるかに私の事を知ってる。
メアリーは…私を知ろうとしてくれた……?
そう思うと胸が痛くなる。私は…メアリーも他の人間も、無意識に拒絶してたのかもしれない。
失うのが恐いから………