セイントロンド
「本当…こんな世界…滅んでしまえばいいのに…」
「アメリア…一体何が…」
カインが私へと手を伸ばした瞬間ー…
「おやおや、とんでもない事をおっしゃる」
また厄介な人間が現れた。ニヤニヤと笑みを浮かべ、私の前で立ち止まる。
「…ドナ神父……」
この腹が立つほど嬉しそうな顔……
嫌な予感しかしない。
「世界が滅んでしまえばいい…なんて、どういうつもりか、聖女様?」
「聖女!?」
カインが私を驚いたように見つめる。
あぁ…面倒くさいのが二人に増えた。
「おや、あなたは?」
ドナ神父がカインを横目で見た。
「ドナ神父、あなたは命をかけて世界の為に戦う使徒達の顔すら覚えていないのですか?」
嫌味たっぷりに私はドナ神父に笑みを向けた。
「あ、あぁ…なにせ沢山いるのでね、君達使徒には感謝しているよ」
ドナ神父は罰が悪そうにそう答えた。
「私は、彼等使徒達が哀れでならない。あなたのように、使徒達の命に興味を向けず、暇があれば私のような子供に悪態をつく。まるで赤子のよう…」
「口が過ぎますぞ、異端の聖女め!!」
「これは失礼いたしました。慈悲深き"博愛の神父様"」
ヘドが出そうだ…
私をガキと言うのならこの人は赤子だ。
「貴様…その憎たらしい瞳は両親譲りだな!!
目障りな異端そのものだ!!
」
「…そうですか、では私は視界から失せる事にいたします」
―ザッ
そのまま踵を返す。
気分が悪い……
あの神父…何かと突っ掛かってくるんだから…