セイントロンド
「おい、アメリア!!」
カインが私を呼ぶけれど、無視をした。
「お前の味方など誰一人存在しないぞ。異端の聖女の味方などな…………」
ドナ神父の言葉に私は足を止め、振り返る。
「味方など私には必要ありませんよ。私の味方は私だけ、信じるものも自分自身だけです」
端から期待なんてしてないんだ。
「それは違います、アメリア様!!」
私のすぐ後ろから聞こえた声は、先程泣かせてしまった世話係のメアリーのものだった。
「メアリー…?」
ここにいる事よりも、メアリーがドナ神父に意見した事の方が驚きだった。
メアリー…何を考えてるの?
「ドナ神父様、アメリア様の味方は私です!!」
メアリーは私を守ると言わんばかりに前へ出た。
「…世話係の分際で…生意気な口を聞きおって!!!」
「ひっ!!!」
ドナ神父がメアリーへと手を上げた。
「何しやがんだ!!」
カインが飛び出すより早く、私は腰の銀銃に手を伸ばす。
―カチャッ
咄嗟に片方だけ銀銃を抜く。
―ダンッ
ドナ神父の頬ギリギリを撃ち抜いた。
「ひっ!!!?」
―ドサッ
ドナ神父は尻餅をつき、口をパクパクさせながら私を指差す。
銀銃を腰へとしまい、にっこりと笑みを向ける。
「私も魔女を狩る側の人間です。あまり醜い醜態を晒していると、魔女と間違えて撃ち抜いてしまいますよ?」
「あ、あ、あ……」
恐怖に怯えるドナ神父を見下ろし、親指と人差し指を立て、まるで銃を向けるように神父へと向けた。
「罪深き悪魔に断罪を、judgment」
「き…貴様っ!!」
また立ち上がろうとするドナ神父を今度は冷たい瞳で一括する。
「…メアリー、探した。帰るよ」
踵を返すと、メアリーがパタパタと私に駆け寄る。