セイントロンド
「探して…くれたのですか…?」
メアリーは嬉しそうな顔で私を見上げる。
何がそんなに嬉しいんだろう…
泣いたり笑ったり……
忙しい子だ……
「その…私、勝手にいなくなったりしてごめんなさい。でも、私……」
メアリーは言葉を詰まらせ、俯いたまま立ち止まった。
メアリー…何か言いたい事があるのかな?
「メアリー、私は本当にあなたや、他人の気持ちとか、そういうのが分からない。だから……」
私も何て言えばいいのか分からない。
だから…教えて欲しいんだ。知りたい…んだと思う。
「いいえ…アメリア様はちゃんと分かっています」
「え………?」
メアリーは優しい眼差しで私を見つめる。
どうしてメアリーは…
私を優しい目で見るんだろう…
周りの人間は私を怯えた目で見るのに…
「あなたはドナ神父様から私を守って下さいました。アメリア様は、お優しい方です」
にっこりと笑うメアリーが誰よりも聖女に見えた。
心が優しすぎる子なんだ。私のせいで傷ついてきた事が何度もあったろうに…
「優しいのはメアリーだよ。私はそんなあなたを…眩しくて、美しいと思う」
「アメリア様…………」
互いに見つめ合い、自然と笑みを浮かべた。
「仲直り、出来たみたいだな」
こちらにカインが歩いてくる。
あぁ…カインがいたの忘れてた。
「カイン様!」
メアリーが嬉しそうな笑顔を浮かべる。
やっぱり、メアリーはカインが好きなのかな?
「よかったな、メアリー」
「はい!!」
二人は笑顔で見つめ合っている。
綺麗な人達………
心に曇りが無い…澄んだ心の持ち主。
「…………………」
私とは違う人間………
こういう時に孤独を感じる。自分が醜いのを実感させられる。