セイントロンド

・マリアの涙



「…はぁ…………」


また嫌な夢を見た…
毎夜毎夜見るこの悪夢。
どうしてこんな夢心地の悪い…


「アメリア様、また怖い夢を見たのですか?」


「あぁ、メアリー。まぁそんな所」



私の服を用意する短く癖のある茶色の髪と瞳の彼女はお手伝いのメアリー。


ワルプルギスの血縁の娘は教会で聖女という高い位を与えられ、私、アメリア・ワルプルギスは現代の聖女に君臨する。


聖女はこれから訪れるであろう魔女の祝祭日、"ワルプルギスの夜"に魔女を封印する特別な力を与えられた存在。


力は神器と呼ばれ、聖なる神、テルノリスより与えられると言われている。


それは見合う対価と引き換えに、手にする力。


そして…己の願いと引き換えに与えられる罪の結晶。


その力を持つ人間を使徒という。


「アメリア様?ご気分が優れませんか?」

「大丈夫、寝ぼけているだけ」


心配そうな顔をするメアリーに私は笑みを作った。


聖女なんて……
ただの礎だ……


命の時間を代償とし、与えられたのは魔を払い、封じる聖なる力。



母さんだって……
この世界の為に死んだんだから…










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