セイントロンド
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ミサを終えた私は、約束していた星読みの巫女の神殿を訪れた。
「合い言葉を」
神殿の門番が槍を持ち、表情一つ変えないまま私を見据える。
巫女は良く言えば、聖女に続く世界の宝だ。
悪く言えば…世界の礎となる贄。
「合言葉を」
急かすな……
本当…無表情な人。
心なんてないんじゃないかとさえ思う。
巫女も可哀相に……
それでも合言葉を言わない私を無言に威圧する門番にため息をつく。
それから合言葉を口にした。
「東に月が消え、西に陽が上り、暁に道は開かれ、世は真の星を手に入れる」
「入られよ」
―ガラガラガラ…
門番は門を開き、私を招き入れる。
この神殿では聖女だろうが特別扱いはされない。
ここでは巫女が絶対なんだ。
でも…ここは私を人として見てくれる唯一の場所。
ここの巫女だけが私が唯一信じられる人だ。