セイントロンド
一面に広がる火の海。
崩れた建物や聞こえる誰かの泣き声。
全てを元あった状態へ。
「アメリア、元に戻すってそんなの…神様にしか出来ないって」
カインの言葉に無言で首を横に振る。
「私は聖女だよ。神、テルノリスが愛し、力を与えた存在…」
私が望むなら………
それ相応の対価と引き換えに奇跡ではない絶対的な力を授かる。
少しだけ…少しだけだ。
「今生の時を削り、ここに再生と創造の力を」
光が私に集まっていく…
温かい光に満ちたそれは私を原点とし、解き放たれた。
光は燃え盛る火を消し、焼けた木々をまた蘇させる。
崩れた建物は壊れる前に構築された。
傷は癒え、空が澄み渡るように青い。
「ありえねぇ……」
カインが驚く中、私は体から力が抜けていくのを感じた。
力が…これが………
対価を払うという事……
立ってるのが辛い……