セイントロンド


一面に広がる火の海。
崩れた建物や聞こえる誰かの泣き声。


全てを元あった状態へ。


「アメリア、元に戻すってそんなの…神様にしか出来ないって」


カインの言葉に無言で首を横に振る。


「私は聖女だよ。神、テルノリスが愛し、力を与えた存在…」


私が望むなら………

それ相応の対価と引き換えに奇跡ではない絶対的な力を授かる。



少しだけ…少しだけだ。



「今生の時を削り、ここに再生と創造の力を」


光が私に集まっていく…
温かい光に満ちたそれは私を原点とし、解き放たれた。


光は燃え盛る火を消し、焼けた木々をまた蘇させる。

崩れた建物は壊れる前に構築された。


傷は癒え、空が澄み渡るように青い。


「ありえねぇ……」


カインが驚く中、私は体から力が抜けていくのを感じた。


力が…これが………
対価を払うという事……


立ってるのが辛い……







< 48 / 99 >

この作品をシェア

pagetop