セイントロンド


「俺の部屋だ。あそこから一番近かったからな」

「…そう…ねぇ、死者は出たの?」


あの戦いで命を落とした人間がいたかもしれない。


聖女と魔女の私事の問題で関係ない人を巻き込んだかもしれない。


「教会の子供達と、シスターが何人か亡くなったそうだ」


子供達が……
シスター達が………


抗う力を持たない彼等はただ逃げるしかできなかった。


何てことだろう……


「…………そう……」


守れなかったんだ……
私は世界を救う聖女なのに…


「…アメリアのせいじゃねぇって。アメリアは守ったじゃねぇか」


カイン………

普通にしてたつもりなんだけど……


私が考えてた事、カインにはお見通しみたいだ。


「…カインはすごいね」

「何が?」

「私の心、のぞいたみたい」


私の不安、顔にすら出さないのに…


「前よりは、な。アメリアの事、なるべく見るようにしてるから」

「…見る?」


カインの言葉に、私は素っ頓狂な返事を返す。













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