セイントロンド
「私には…出来ない。失うと分かってるから……」
「なんで失うって分かんだよ」
「…さぁ…ね……」
言葉を詰まらせる私をカインは真剣な瞳見つめる。
「何を考えてる?一人で抱えてても、お前が苦しいだけだ」
「…あなたには関係ない。知らない事が幸せな事もあるんだよ」
カインを冷たい瞳で見つめ返す。
お願いだから……
私の不安に気づかないで…
お願いだから……
弱さを暴こうとしないで…
「俺は…知らなくて後悔したくない。それは…いけない事か?」
カインの言う事は間違っていない。
でも…これは"私"の事なんだ。
「私とあなたは分かり合えない。この先もずっと」
分かり合えなくていい…
この痛みは私のせいなんだから…
それだけを言い残し部屋を後にした。
カインに呼び止められる事もなく………