セイントロンド
『体の一部分を奪われる人間の死体、連続殺人の謎!!』
渡された資料は町で配られていたという新聞だった。
この見出し…
普通の殺人事件じゃない。
問題は"体の一部分を"だ。一体何の為に……
「今朝、調査に行かせた使徒が死体で見つかったと報告がありました」
「…死体……」
また使徒が死んだんだ…
また……
「遺体は目、腸を取られ教会の前に…」
「…………そう……」
なんて酷いんだろう……
なんて……
「遺体はまだある?案内して」
「はい、では…」
私はベールを被り、男の背に続く。
今は煩わしい聖服も、こんな時には役に立つんだ…
また犠牲者が出た……
悲しい運命を背負う同士、彼等の死はやっぱり辛い。
「アメリア様…大丈夫ですか?」
私の背にメアリーは声をかけた。
メアリーは私の弱さに気付いてる。
だからこんな事を聞くんだ。
だから……
「…行ってくる」
なるべく普通に、振り返らずにそう告げた。