セイントロンド
「これは聖女様、ご機嫌はいかがかな?」
「!!!」
いつの間にか俯いていた顔を上げれば、神父ドナがいた。
考え事をしてたせいか…
最も関わりたくない神父と鉢合わせするなんて…
「君は本当に母親ににているな」
あぁ…始まった……
母さんの悪口だ……
「その金の髪も瞳も…異端の瞳も、裏切りの聖女と同じだ。世界を危うく滅ぼしかけた」
「…………………」
何も知らないくせに…
母さんの思いも何も……
「同じようにはならんでくれよ、聖女様」
「…ええ、心配なさらず。この世界で生きたいとは微塵も思っていませんから」
ありったけの嫌みを込めて私は笑みを浮かべた。
「ぐっ…生意気な小娘が」
聞こえてるっての……
遠ざかる私の背にドナが悪態をつく。
いつもの事だ……
いつもの事なんだから…