セイントロンド
沈黙が続く。
と、そこへ見知った人間が現れた。
「アメリア!部屋にいなかったから探したぞ!」
赤い髪と碧い瞳を持つ男、カインだ。
「………………………」
でも今はカインを気にしている余裕は無かった。
撤回させなきゃ……
私が…彼等を守らなきゃ…
命は…尊うモノ。
どんな命も……
魔女の命も………
それは例外なく愛されるモノなんだ。
「撤回して」
「な、な、何をでしょうか…。わ、私は聖女様の為に…」
あたふたする聖職者にゆっくりと近づく。
聖職者はゆっくりと後ずさった。
空気がピンッと張り詰める。
「……アメリア?何があったんだ?」
「聖女様は…使徒達の死を蔑ろにした聖職者様達に怒りを…」
カインの言葉に伝令役の男が答えた。
そんな会話すら聞こえないほど怒りが心を支配していた。