セイントロンド
「命は惜しい…でもな、それが守りたいものを守る為に犠牲にするものなら、惜しくなんてねぇよ…」
守りたいものを守る為なら…
命さえも惜しくないと…?
何故こうも…必死になれるの?
「命は…生きたいと願うから輝き、惜しいと思うから永らえる。それは…人間の美しさ…」
「??」
真っ暗の階段の途中で、私達は足を止める。
自然と見つめ合うように向き合った。
「人間が、生きる事を諦めた時、人は死ぬか、あるいは抜け殻となる」
命は求められてこそ生かされ、永き時を刻む。
「あなたは、他人の為に自らの命を差し出すの?」
待つのは終わりだけ。
何かを愛しいと思う事も、大切なものを抱きしめる事も出来なくなっても…?
「俺が守りたいと願ったなら、俺は差し出すよ。それはアメリア、お前の為だって差し出せる」
「…どうして………」
命を惜しいと思いながら、誰が為に差し出せると言い切れるんだろう…
「…あなたは…不思議。言ってる事が矛盾してる」
「人間、規律通りに生きてるわけじゃないからな、わからないから人間なんだろ」
カインはニッと笑い笑いの頭に手を乗せた。
「何するの?」
「ちっせぇなと思っただけ」
カインはあたしの頭を撫で始めた。
「失礼な…あなたが大きすぎるんだよ」
私の頭二個分大きいカインを睨みつける。
私は標準サイズだ。
メアリーと同じくらいだろうか?