セイントロンド
「…わからない…。わからないけど………考えてみる」
「そ、そうか!」
何か…前進か?
今までならわからないで終わりだったのに…
「考えてみる…だけだから…」
また無表情に戻るアメリアに俺は笑いかける。
「今はそれだけでいい」
また頭を撫でてやると、アメリアは困ったような顔をした。
また新しい表情を見れただけでよしとしよう。
少しずつでいい………
アメリアの心に色を取り戻していけたら…
「俺が見ててやるから…」
「え……?」
何か言ったかと言わんばかりに首を傾げるアメリアの背を軽く押した。
「何でもねぇって!」
「???」
恥ずかしさをごまかすようにアメリアの背を押し、俺達はまた歩き出したのだった。