セイントロンド
「…風が気持ちいい…」
私は母さんと思い出の場所、教会の花園へ来ていた。
咲き誇るこの白い花は、聖なる者…ワルプルギスと言う。
私と同じ名を与えられた花。母さんの大好きな花。
「…ただ…生きたかっただけだったのにね…」
私達聖女には…
それすら許されないの?
「…sacrifice…」
―犠牲
母さん………
「…あなたが生きていて、まだ家族の形が私の傍にあったなら……」
まだ愛する心が傍にあったなら…
「私も生きたいと思えたのに…」
―ポタンッ
涙がポタリと頬を伝い花を濡らした。
―ガサッ
「!!!!」
私はドレスの下に隠していた銃に手を置き、音の聞こえた背後を振り返った。
そこには………