セイントロンド
「アメリアがそんなに信頼するなんてな…少し妬ける」
「…………は?」
妬けるって………
誰が何に?
「俺の事ももっと信頼してほしいもんだな」
カインは寂しげに笑い私の頭をくしゃっと撫でた。
温かい手………
でも戦いの中で生きてきた傷ついた手……
ふと疑問が浮かぶ。
カインは…どんな願いと引き換えに神器を手にしたのだろう…?
「ねぇ…。カインはどうして使徒に?」
気づけばそう口にしていた。言った後で少し後悔する。
使徒は願いと引き換えに戦う道を選んだ人間の末路。
たとえ私欲の為だとしても命と引き換えならば誰だって手は出さないはず。
ならばきっと辛い事に違いない。
「あ、あぁ……。…俺に興味が出てきたか?」
一瞬、悲しげに表情を曇らせ、すぐに悪戯な笑みを作る。
無理して…笑ってる。
「無理に笑わなくていい…」
「…え………?」
辛いなら辛いと言えばいい、苦しいなら笑わなければいい。
「あなたにはあなたの苦しみを受け止めてくれる人間がいるでしょ?」
例えば……そう。
メアリー………とか…。
「俺は別に…誰かに聞いてほしいとか、ねぇって…。無理だって……」
カインはまるで自分に言い聞かせるようにそう呟き、眼帯に触れた。