セイントロンド


「…せき止められなくなりそうなら流れに身を任せるように言葉にすればいい」

痛い、苦しい。
怖い、悲しい、助けて。


「人は、言葉にして誰かに聞いてもらえるだけで…重さが和らぐものだから」



たとえ何もしてもらえなくても、ただ聞いてもらえるだけで…


救われる事もある。


「アメリア………」


カインは迷った瞳を私に向ける。



「あなたが本当に辛いならそうすればいいだけ。さあ、そろそろ寝よう。明日も忙しいんだから」


それ以上は追求しない。
あとはカインがどうするかだ。


布団の中へと入り、瞳を閉じる。


「…ありがとな……」


意識が遠ざかる中、カインにお礼を言われた気がした。












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