セイントロンド
「メアリーもこれじゃ苦労するな」
「どういう意味?」
キッとカインを睨みつける。
「まだまだ可愛いとこもあるなって事だよ」
フッと笑いカインも向かいの席につく。
可愛いって………
カインもメアリーも私を子供扱いして…
年だってあまり変わらないはずなのに…
「ほら、食べろ」
「…いただきます……」
パクッと一口パンを口にする。
「甘い……」
ただ焼いただけだと思ってたら…
「砂糖とバターを塗って焼いたんだ、食欲湧くだろ!」
得意げに言うカインはムカツクけど……
「すごくおいしい…」
本当に甘くておいしい。メアリーの食事と似ている。
食べると…温かい気持ちになる。
「そらぁ良かった」
優しく微笑みかけるカインに私はまた戸惑う。
だから恐い…………
失うと分かっているから…
どうか……
これ以上期待させないで…