セイントロンド
「あ、わ、悪い!!!
別に驚かせるつもりは!!」
短い紅髪に眼帯の青年が慌てたように両手を振る。
黒いスーツを着ている所を見ると、恐らく…
魔女狩りを仕事とする
"使徒"だ。
"使徒"の存在は世間にはまだ公にされていない。
裏で動く秘密の組織だ。
そんな使徒が…
「何の用?」
そう問えば、青年は困ったように私へと歩み寄る。
「あー…いや…」
後頭部をガシガシと掻きながら青年は私の前までやって来た。
「……………??」
はっきりしない奴。
用が無いならどこかへ行ってほしい。
これからミサもあるし…
私がゆっくり出来る時間なんてこんな時間しかないのに…
「俺、カイン・ディグラス。カインって呼んでくれ」
「…………はぁ」
ため息をついて青年から視線を外す。
…自己紹介してきた。
噛み合わない人だな…