言葉で伝えて


百合がよく泣きながら、


「私は本当に晴彦の彼女なんだよね…?
好きだから一緒にいるんだよね…?」


って聞いてくる。


今日だってそうだ。



一緒に住むようになって四年がすぎた今日、俺も百合もたまたま休みだった。


天気がいいからどこか行こうと百合は言ったけど、俺は百合と2人っきりで家でごろごろしたい。


それを口には出さず、俺は寝ると言った。



そしたら百合が泣きながら寝室まで来て、こんな事を言う。



好きだ、お前は俺の大事な彼女だって言えたらいいんだけど。


そんな事言えないから。


俺は百合を抱く。


そうすれば伝わる、そういつも思っていた。


抱いている時だけは、少しだけ素直になれるから。


優しく、大事に俺は百合を抱く。
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