Dummy Lover
「っ…!んーっ!」
「あ、」
口を塞がれた金城瑠璃が本当に苦しんでたから、僕はパッと手を離す。
「し、白谷くん、今…!」
「うるさい」
「え、」
息を整えながら、未だ詰め寄る金城瑠璃を制して。
「どうせあんただって、女の前じゃ性格最悪なんでしょ?クラスの女子が、あんたの悪口言ってるの聞いたことあるし」
「な…!白谷くん…、本当に白谷泉くんなの?」
金城が僕に疑いの目を向けた。
そんな金城に、僕は心の中で嘲笑う。
「そうだよ。あんたは〝愛想が良くて優しい白谷泉〟に告ってたんだろ?」
「え…」
金城瑠璃の顔は、困惑しきっていた。
でも、今の僕には、そんなのどうでもいい。
もう本性にスイッチが入っているから。
「〝愛想が良くて優しい白谷泉〟なんて、どこにもいないんだよ」
僕は金城瑠璃を睨みつけながら、そう吐き捨てた。