Dummy Lover
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「はぁ…」
「ちょっと由愛、大丈夫?」
「…うん」
あの後。
白谷泉のあの独特の恐ろしい目が嫌で、私はまだあの告白が終わっていなかったけど教室に戻った。
桜は食い入って見てたから置いて来たら、案の定怒られたけど。
桜の言葉が耳に入らないくらい、白谷泉のあの目は、私に影響を及ぼした。
「由愛、そいえばあんた、さっきの菊ちゃんの話聞いてた?」
「話…?」
「やっぱり聞いてない。今日放課後、職員室だって」
「え、私だけ?」
とっさにそう言うと、桜はさらに呆れてため息をつく。
今日は何回目だろうか。
菊ちゃんとは、さっきも私にゴミ捨てを頼んだうちのクラスの担任の先生。
本名は、菊池先生。だから、菊ちゃんらしい。
良い人だけど、私は好きじゃない。
まあ私が好きな人ってほとんどいないけど。
「由愛、大丈夫?いつものことじゃん。担任の職員室呼び出しなんて。…あんた、エセ優等生のうえにクラス委員なんだから」
「あ、そっか。委員の仕事か。…てか、エセ優等生なんて呼ばないでよ」
「ホントのことでしょ」
桜とこうして何気ない会話をしていても、白谷泉と金城瑠璃のあの奇妙な告白が、頭から離れなかった。