Dummy Lover
昼休み。
少し騒がしい教室の中、一人で弁当を食べる私、羽月由愛。
学年では優等生として、結構名は知れているけど。
でも実際は、ただ猫被ってるだけで、いつの間にか優等生。
本性を知っている人は、ごくわずかなのだ。
「あ、羽月さん!」
「…はい?」
「悪いけど、ゴミ捨て行ってくれないかしら?」
ゴミ袋を両手に持って、担任が申し訳なさそうに私に言う。
たぶん私は、一瞬顔を歪めてしまったと思う。
教師にとって優等生は、とっても都合が良いから。
それは、実際なってみて気付いたけれど。
そんな冷めたことを、心の中で思いながら。
「分かりました」
私は満面の笑みでそう言って、ゴミ袋を両手に持って教室を出た。
ポーカーフェイスは、優等生の必需品。