Dummy Lover
バレる。
この録音聞かれたら、確実にバレる。
私の〝優等生〟じゃない姿。
「どうするの?」
「でもそれ、あんたの本性もバレるよね?」
「そんなの編集で、どうにでもなるもんだよ」
「……」
私は、とうとう言葉に詰まってしまった。
どうする、由愛?
こいつの彼女、なんてろくなことないはず。
だいたい偽って何?
しかも、白谷泉と言えば、ファンクラブが密かにあるって噂が出るくらいの人気王子様だよ?
でも、私の性格は、バラされちゃいけないんだ。
今まで隠し通してきた意味がまるでなくなる。
また、逆戻りでふりだしに戻っちゃう。
私は、ごくっと唾を飲んだ。
「……分かった」
白谷を見据えて、呟いた。
すると、白谷は微笑して、私の頭を撫でる。
「いい子だね、由愛ちゃん」
そして、白谷はその言葉の後に。
「…ん!」
私に、キスした。
もちろん唇。
「な…!」
「何、このくらいで赤くなってんの?」
「なにって、私…!」
「ファーストキス、だった?」
「ち、違うけど…」
「じゃあ良いじゃん」
「良いわけないでしょ!?」
キスした後の白谷の顔は、輝くような笑顔で、
私は白谷が良い人なのか悪い人なのか、何を思っているのか、
何も分からなかった。
そして、私と白谷泉の、
危険な契約が交わされたのだ。