Dummy Lover
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「なんで走る必要があったわけ?」
「良いじゃない。手伝ってあげたんだから」
「それはありがとうって言ってるでしょ!」
「うるさい、エセ優等生!」
「な…!大声で言わないで!」
ゴミ捨て場からの帰り道の、渡り廊下。
私達は、くだらない言い合い中。
ちなみに、エセ優等生とは私のこと。
猫被ってるから、桜は私のことをたまにそう呼ぶ。
まあ、本当のことだからしょうがないと思ってる。
ただ好きで、そんな優等生になったわけじゃない。
…ただの成り行き。
「あ!」
「え?」
「見て、あれ!」
いきなり声をあげた桜が指差す方を見ると。
「あれって…」
二人の男女の生徒が、少し離れた中庭で向かいあっていた。