Dummy Lover

過去と思惑




あぁ…。
私、バカだな。




追いかけられたくなくて、私は保健室を出てから、無我夢中で廊下を走っていた。
保健室は1階。その階に教室はないため、休み時間だったけど生徒はいない。


「はぁ…、はぁ…」


校舎の端の階段前まで来て、走っていた足を止めた。


「授業、出よ…」


そんな独り言を呟き、4階にある教室に向かおうとした時。


「…羽月さん?」

「え、」


後ろから名前を呼ばれ、私は弾かれたように振り向いた。

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