Dummy Lover



「女の子は分かる?」

「え、知らない」


私がそう言うと、桜は呆れたようにため息をついた。


「金城瑠璃。ほら、可愛い可愛いって男子によく騒がれてる…」

「あぁ…、名前は知ってる」




白谷泉も金城瑠璃も、なんだかんだ有名だし人気がある。
名前は、この疎い私でも聞いたことがあるし。
まあほとんど、噂好きな桜と一緒にいるから、だろうけど。

この二人がくっついたら、学年どころか学校中の噂になるんだろう。




「てか、ホント由愛は何も知らないよね…」

「うるさいな!名前知ってたんだから良いじゃん」


そんな言い合いを小声でしながら、白谷泉と金城瑠璃を見ていると。




「私…、好きなんです!」




「うわ、告った!」

「桜、静かに!」


私たちが見ているとも知らずに、金城瑠璃がうつ向きながら、白谷泉に叫んだ。
私たちは静かに見守ることにした。


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