Dummy Lover
「好きって…、僕のこと?」
「は、はい。入学してから、ずっと…」
金城瑠璃は、うつ向きながら言った。
けれど白谷泉は、それに冷たい目線を注いでいる。
なんだか、寒気がした。
なに、アイツ。
愛想が良いって評判なのに、〝王子〟とか〝タラシ〟とか呼ばれてるのに。
どうしてあんな…。
「ごめんね…」
「え…?」
不意に白谷が答える。
すると金城さんが驚いて、白谷を見つめているのが分かった。
「え、白谷くん…?私のこと、知ってる…よね?」
「知ってるよ?1組の金城瑠璃ちゃん、でしょ?」
「そうよ。じゃあなんで…!」
金城さんが言いかけると、白谷は金城さんの口を手で覆う。
自然に、金城さんの声は途切れた。