Dummy Lover
「よく考えてみて。羽月さんみたいな人が、白谷くんと付き合うと思う?」
「確かに…」
確かに、おかしい。
白谷泉みたいな女タラシ。
由愛が一番嫌いそうなタイプじゃないか。
…何か、あるのか?
「ね、協力しましょう?私たちなら、出来るわ。きっと」
「でも――」
「羽月さんが、白谷くんに傷つけられても良いの?」
金城瑠璃の言葉が、俺の全身を突き刺す。
由愛が傷つけられるなんて、絶対にあってはならない。
「分かったよ。協力する」
「良かった。じゃあ、これからよろしくね。…霧島颯太くん」
放課後の薄暗い教室。
俺と金城瑠璃の間で、危険な契約が交わされたのだった。