Dummy Lover
これ、……舌!?
だめだって!……白谷!
…と、心の中で叫んでみてもどうしようもなく、抵抗して腰に回された腕を離そうと試みても、まったくびくともしない。
「ふ……、やぁ…!」
そうしている間にも、白谷のキスは激しくなるばかりで、奴の舌は私の口内を容赦なくかき回す。
ついには、生理的な涙まで溢れてきた。
……だめだ。
そう思うと同時に、白谷は力を弱め唇を離す。
私は足りなくなった酸素を補給しようと、必死に呼吸する。
「由愛ちゃん体力ないなー」
「…なんでアンタはそんなに普通にいられるのよ」
うつむいて呼吸を整える私を、白谷は覗き込む。
その顔は、何事もなかったかのように余裕な表情。
……ムカつく。
激しくしたのに、余裕な白谷がムカつく。
偽とか言っておいて、監視するためとか言っておいて、普通の彼氏みたいな白谷がムカつく。
「キス、泣いちゃうくらい、良かった…?」
「…っ!」
流されてしまう自分が、一番ムカつく。