Dummy Lover
「すっかり泉に、してやられてるみたいだね、由愛ちゃん」
「あ、はは…。先生まで、由愛ちゃん呼ばわりしないでくださいよ」
「いや、ごめんごめん。…泉のがうつっちゃってさ」
ここは、保健室。
この前まで1回も行ったことがなかった保健室に、今となってはすっかり馴染んでしまっていた。
…これも全部、白谷のせい。
アイツが事あるごとに珠樹先生のいる保健室に行くから、気付いたら私も常連みたいになっていた。
今は放課後。ここ最近は、放課後はいつもここにいる。
白谷はトイレに行っていて、今は珠樹先生と2人きり。
患者が1人もいないこの保健室で、ベッドに腰を下ろしていると。
珠樹先生は、苦笑し同情したような声色で、私に話しかけてくる。
めったに人に懐かない私も、なぜか珠樹先生には初対面の時からある程度心が許せていて。
「由愛ちゃん、ココア飲む?」
「わ、ありがとうございます。手伝いましょうか?」
「ん、平気だよ」
こんな感じで普通に会話が出来たりしている。