Dummy Lover
「はぁ、…俺バカか」
そんなこと、いくら考えたってしょうがないのに。
今日は、せっかく部活がない、かと言ってテスト前でもないし、偶然にも明日提出の課題もない、気ままな放課後だというのに。
…何やってるんだろうか、俺は。
そこまで考えると、俺の思考は扉を叩くノックの音で中断された。
母さんが何かの用で入ってくるのかと思い、特に返事もせずにいると。
「そうたー?」
「え、ゆ、由愛!?」
信じられないことに、由愛の声がした。
噂をすれば何とやら、ってやつだ。
俺はあまりに突然のことに、ベッドの上に立ち上がってしまった。
ガチャ、という音がして扉が開くと。
「あれ?…何やってんの?」
「いや、いきなりノックされたからびっくりしちゃって…」
「ごめん、いきなり迷惑だった?」
「いや全然!」
「そう?」
由愛はそう言って首を傾げながら、俺の部屋に入って扉を閉めた。
今まで由愛と白谷のことを考えていたこともあって、俺の心中は焦っていた。