Dummy Lover
「あれさー、」
「え?」
いきなり隣にいた桜が声を発した。
視線はあの二人に向いてるけど、私に話しかけているみたい。
「金城瑠璃。絶対自信あったんだろうね」
「へ…?」
「告ったら、タラシの白谷泉くらいは軽く落とせると思ったんだろうね。あー、やだやだ。白谷も断って正解だよ」
桜が小声で話すのを聞いて、私の頭の中でなんとなくつじつまがあう。
「つまり、金城さんは外見は良いけど中身は、」
「最悪らしいよ。まあ友達から聞いた話だから、なんとも言えないけど。めっちゃ自意識過剰で高飛車なんだって」
「へ、へぇ…」
だから、白谷もあんな目をしてるのか。
なんだか、とても嫌悪感を含んだ感じがする。
どうして、あんな目をしてるんだろう。
あんなに睨まなくたって、良いのに。
初めて見た白谷の冷たい目。
私は、それを想像するだけで、なぜか寒気がした。
今思えば、これは、
これから起こることへの、警告サインだったんだ。