RAIN DROPS -初めての恋-
初めての名前
あの日から数日が過ぎ、今日から6月。
なのに、永瀬くんの傘はまだあたしのところにあった。
あの日から晴れが続き、なかなか話しはできないし、あたしは傘を返すタイミングが分からずにいた。
なにか、永瀬くんと接点があればいいのに…。
今日はクラスのみんなが少し浮き足立っていた。
永瀬くんは、相変わらず机に突っ伏しているけど。
あの日から少しだけ、永瀬くんの行動が気になる…。
永瀬くんを見たら、あたしからふふっと笑いが零れた。
「なぁーに笑ってんのよっ!!」
「あたっ!?」
背後から頭を叩かれ、あたしはすっとんきょうな声を上げてしまった。
犯人は。
「亜美(あみ)ぃ~」
そこに居たのは、やっぱり親友の亜美だった。
わざとちょっと怒った声で呼んでみた。
「あはっ!ごめん、ごめん!
あまりにも笑花が、にこにこしてるから、席替えで隣になりたい人でも出来たのかと思って」
席替えで“隣”になりたい人。