RAIN DROPS -初めての恋-
『そんなに真剣にならなくても良いじゃん。どうせ1ヶ月なんだしさ?』
亜美はそう言って苦笑してたけど、傘を返すためにはどうしても、永瀬くんの近くにならなきゃ!
よし、これだぁ!
がんばって選んだくじを開くと“14番”。
窓から二列目の一番後ろ。
黒板に雑に描かれた席に名前を書きにいく。
その左隣の席にはもう、
“永瀬”と書かれていた――。
やったぁっ!
神様ありがとうございます!
初めて神様に感謝しながら、あたしはまた知らないうちに笑っていた。
それが、傘を返せるからうれしいのか、隣になれたことがうれしいのか、今のあたしには分からなかったけど。
亜美も右斜め前の席だから近くて嬉しい。
ほんとに最高の席だ。
そしてみんながくじを引き終わり、ガタガタ音をたてて一斉に机の移動を始めた。