RAIN DROPS -初めての恋-
でも何を話したらいいのかあたふたしてたあたしに、先に話題を振ってくれたのは、永瀬くんだった。
「あの日、更科さんはちゃんと無事に帰れた?」
「えっ…あっ、うんっ!」
「なら良かった。」
永瀬くんは、どうやってそんなに柔らかく笑うんだろ…?
あたしもこんな風に笑えたらいいのにな…。
「いっ…いろいろ永瀬くんのおかげだよ…、ありがとね…っ」
やっと、お礼が言えた…。
きっと真っ赤になってたと思うけど、あたしはちゃんと永瀬くんにお礼が言いたくて。
いつものあたしならできなかったと思う。
でも、がんばって…ちゃんと言えたんだ…。
それがうれしくて自然に笑顔になれた。
永瀬くんへの“ありがとう”があたしの中に溜まっていく気がした。