RAIN DROPS -初めての恋-
「あのっ…、放課後に永瀬くんの傘返すねっ!!…遅れてごめんなさい…っ!!」
近くの席になりたかった一番の理由思い出して、あたしはこの勢いで言った。
「急がなくてもいいのに。でもじゃあ、放課後ね?」
永瀬くんはクスクス笑いながらそう言ってくれた。
それから永瀬くんは、「んー、」とつぶやいて続けた。
「“永瀬”くんって、他人行儀でヤダ。俺たち仲良しなのに。名前で呼んで?」
「えっ?」
「お願い?」
机に俯せになった永瀬くんは、あたしを上目遣いで見上げながら、言う。
永瀬くんは何でこんなに、言葉が直球で、素直なんだろ…。
あたしが恥ずかしくなっちゃう…。
だから、こんなに心臓がドキドキして痛いんだね…。
あたしには難しい過ぎるよ…。
「あっ…、えっと…
“あま…ね”…くん…?」
「なぁに?“笑花”。」
…う…わっ…。