RAIN DROPS -初めての恋-
「もうっ!
あたしは“恋”なんてしたことないんだもんっ!
だから『好きか』なんて聞かれても、分かんないよ!」
―――そう。
あたしは生まれてから一度も、高校2年生にもなって、今まで“恋”というものをしたことがない。
周りの人たちに彼氏ができて、いいな、欲しいな、と思ってもあたしには“好きな人”なんていなくて…。
あたしは未だに“人を好きになること”がどんなものか、よく分からない…。
「でも、永瀬に傘を貸してもらってから、ドキドキするんでしょ?」
「でも、初めて話せばドキドキするよ…?」
「でも、ますます強くなってるんでしょ?」
「ぅっ…うん…」
亜美には全部話してしまった。
親友だし、あたしよりも頭のいい亜美になら分かるかな、って思って。
この気持ちの正体が…。
「それはやっぱり、“恋”だと思うのよねっ!」