RAIN DROPS -初めての恋-




あたしは亜美と、五時間目と六時間目の授業を屋上で過ごした。


泣きはらした目じゃ誰にも会いたくなかったし、
天音くんの話で持ちっきりな教室には居たくなかった。


――高校に入って初めて、あたしは授業をサボった。




そして放課後を告げるチャイムが鳴り、あたしを心配してくれる亜美は『バイトは休む!』って言ってくれたけど、これ以上迷惑はかけたくなくて帰らせた。


辺りは薄暗くなっていた。



校舎の中の生徒は、きっとほとんど帰っただろう。

そう思ってあたしは教室にバックを取りに立ち上がった。



重い足取りで2年B組の自分の教室まで歩く。


――ガラカラ…





もう人はいないと思ったのに…。


今一番会いたくない人だったのに…。


そこには、あのふわふわなくせっ毛が、あたしの左隣の席に突っ伏して寝息をたてていた。




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