RAIN DROPS -初めての恋-
試合開始の合図と一緒に、あたしは走り出した。
けど、もともと足が遅いから周りからはぐずぐずしてるように見えるだろうな…。
そんなことを考えてたら、
頭が急に痛くなって―――
――クラクラ……
あたしはそのまま目の前が真っ暗になって倒れた…。
クラスの悲鳴の中で、「笑花っ!?」って焦るように叫ぶ、天音くんの声が聞こえた気がした。
……天音くん…、…心配してくれてるのかな…?
目を開けて確かめたいけど、体はふわふわしてて、動かなくて…。
そんな意識の中で誰かに背負われたのが分かった。
――頬っぺたに柔らかい髪の毛を感じた。
触ったことはないけど、きっと天音くんの髪はこんな感じだろなぁ…。
あたしは夢の中で「…あまねくん…」とつぶやいて、
その意識を手放した――。