RAIN DROPS -初めての恋-




「放課後まで好きなくらい寝てていいわよ?」

「ありがとう…ございます…」

「いいえ、
あたしの仕事ですからねー」


おどけて言う先生は、子どもみたいでますますかわいかった。



「後で、天音にもお礼言いなさいねー?」

「え…?」



いきなり先生から出てきた彼の名前に胸が痛んだ。



「覚えてないかー。ここまであなた背負って来たの、天音なのよー?」



先生が天音くんのことを呼び捨てなことよりも、その事実に驚いて…。



あのとき聞こえた声は、夢じゃなかったんだ…。

あんなひどいことしてたのに、助けてくれたんだ…。


あたしは、ズキッと胸に何かが刺さった気がした。



あたしが涙が出そうなことを察してなのか、先生は、薬指に指輪が光る左手で頭を優しくなでてくれた…。



「もう一回、寝なさい?」



しゃべり方が少し天音くんに
似てるなぁー…。

なんて思ってるうちに

あたしは夢の世界へ落ちていった――。




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