RAIN DROPS -初めての恋-
保健室を出るとき。
先生は何かを天音くんに耳打ちした。
「うるさいよ…」
キツい言葉なはずなのに、愛情が感じられる……。
あたしの前では見せたことない真っ赤な顔だった……。
先生はそんな天音くんを見て、ケラケラ笑ってて、幸せそうで……。
あたしの胸は押し潰されそうになった。
あたしの家までの道を少し慣れたように歩く天音くん。
いつものように、あたしの左側。
初めて雨が降ってなかった。
けど、保健室を出てからあたしたちには会話もない。
“最後にしよう”って思った。
いつまでもこんな曖昧じゃ、きっとあたしは天音くんを忘れられない……。
無視するんじゃなくて、明日からはちゃんと“友達”を演じよう…。
あたしは“最後”をゆっくりと踏みしめるように、天音くんの隣を歩いた…。