RAIN DROPS -初めての恋-
「着いたよ、笑花?」
「…ありがとう…」
あぁ…、泣いちゃだめ…。
あたしはいっぱい息を吸い込んだ。
「じゃあ…、バイバイ」
この初恋にも、
今の天音くんにも、
別れを告げて、あたしは背を向けた…。
あたし、ちゃんと笑えてたかな…?
明日からは、“恋”なんて知らなかったあたしに戻るから…。
――グイッ
けど、天音くんに後ろから手を引かれ、あたしの目の前にはいつの間にか天音くんの胸があった。
天音くんの香りに優しく包まれる。
一瞬の出来事に、なにがあったのか頭がついていかない…。
何か喋ろうと上を向くと、そこには天音くんのきれいな透き通った顔があった…。
目が合うと、心臓が飛び出てしまいそうで。
あたしは慌てて顔を逸らそうとした。
けど、それは間に合わなくて……。