RAIN DROPS -初めての恋-
おでこにタオルをのせると、冷たかったのか天音くんは「ん…っ」とうなった。
それがかわいくて、あたしはクスクスと笑ってしまった。
「…笑花?
…ねぇ…良かったの?」
「天音くんに拒否権はありません。あたしが看病したいから看病するの。あたしがもっとそばにいたいの。……だめ?」
あたしは、いつかの天音くんが言った言葉で言い返した。
最後の方は、恥ずかしくて弱くなってしまったけど…。
真似されて恥ずかしそうに微笑んだ天音くんは、
「ダメじゃないよ…」
あたしの返事の真似をした。
あたしより強い意思があった気がしたけど…。
それから二人で目が合って笑った。
天音くんは風邪のせいか、いつもより子どもっぽくて
「手…にぎって…?」
って右手を出して熱っぽい上目遣いで言う。
その姿がかわいくて、胸がくすぐったくなる。
あたしの右手と天音くんの右手がそっとつながると、
天音くんは瞳を閉じて寝息をたてた。