RAIN DROPS -初めての恋-




天音くんが起きたら一緒に食べよう。


なにがいいかな?


でも、レパートリーがないし…。

栄養があって、失敗しないの……。

仕方ない…。

あれしかない…。


あたしは制服の上から天音くんのだと思われる青いエプロンを身につけた。





――トン、トン、トン………。


包丁がまな板を打ち付ける音が部屋に響く。



ちょっと慣れない手つきだけど野菜を切っていく。





「笑花、料理できたんだね?」



後ろから突然した声に驚いてしまい、包丁が左手の人差し指にかすった――。



「い…っ」


ぷくぅー、と赤い血が指先から溢れてきた……。

やっちゃったぁ…。



そんなことを思っていたら、あたしのその指は天音くんにつかまれて、


「笑花…ごめんね?」


天音くんの顔があたしの指先に近づいていく……。




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