RAIN DROPS -初めての恋-
でもそんな永瀬くんは、人見知りのあたしでも少し安心させてくれる雰囲気があった。
だからなのかよく分からないけど、永瀬くんと話しはじめてから、あたしはいつもよりテンポ早く脈打っているのを感じていた。
――ドキン…ドキン…
それがちょっと息苦しくて、でも心地よくて…。
“更科さんが大丈夫なら、俺も大丈夫だよ?”――。
それになんて答えていいのか分からずに、
「ありがとう…」
なんて、有りがちな言葉をあたしは小さな声で言った。
いくら同じクラスの人でも、地味ぃーに生きているあたしがクラスみんなの人気者の永瀬くんと話すのは、これが初めてのことだった。