RAIN DROPS -初めての恋-




亜美は今日もバイトで、先に帰ってしまった。


だから、天音くんと帰るのに支障はない。

それに、最近一緒に帰れてなかったから本当はすごくうれしい。



けど、

立ち上がったあたしたちを突き刺すような視線をまた周りから感じる――。


やめてよ…、見ないで…っ。


天音くんとあたしが釣り合ってないことくらい、自分でも分かってるけど、それでも止められない恋だったんだもん…。


恥ずかしさか、惨めさからか、あたしの目には少し涙が溜まっていく。



「ねぇ、永瀬くぅん?更科さんじゃなくて、あたし達と一緒に帰ろうよぉっ!」


急に後ろから声がして、あたしはその言葉の意味を理解できないまま振り向いた。


「あたし達がいつ誘っても断ってたのに、更科さんだけズルいよぉ~!」


――猫なで声。


パッチリメイクに長い茶髪。

見たことない女の子。

似たような、ちょっと派手だけどキレイな女の子が三人、天音くんに話しかけていた。




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