RAIN DROPS -初めての恋-
「ヤダ」
その言葉と同時にあたしは天音くんの胸の中に引っ張り込まれた。
あたしの左手は天音くんの右手にしっかり繋がれている。
「え?」
ポカーンとしたような、あの三人の声が揃って聞こえた。
「ヤダよ、俺?
お前らと帰ったって全然つまんないし。
てか、俺が笑花を好きで、笑花と一緒に帰りたいんだしね。
笑花の悪口言うんだったらもっと本気で怒ってあげようか?」
いつも優しい天音くんからは考えられない言葉が並ぶ。
どんな顔して言ってくれてるのかな……?ってまた思った。
顔をあげて天音くんを見たいけど、それを拒否するようにあたしの頭は天音くんの左手で胸に押さえつけられている。
……それに嬉し涙が溢れていたから、あたしは大人しく、天音くんの甘い香りに包まれていた。